問わず語り
 

あめふらし

「あめふらし」という海の生物をご存知でしょうか 。
海釣りをされる方なら、一度や二度釣り上げられた経験を お持ちだろうと思います。
重いので、鰈か蛸でも釣れたかと思って勇んで上げますと、巨大ななめくじのような 黒っぽい塊がついていたりします。
「なまこ」と間違える方もおりますが、なんとなくぶよぶよなので
「なんじゃ、これは、気味のわるいもん、釣ってもうたわ」と 捨てられます。
針をはずすとき傷をつけますと、かなしい紫色の血(液) をふりまいて海に沈んでいきます。
「あめふらし」は日本での分類上正式な呼称です。よく似た仲間に「うみうし」が おります(研究者ではありませんので詳しくはわかりませんが、「科」で分けられております) いずれも、巻き貝の種類なんだそうで、その証拠にあめふらしの身体のなかには、 木の葉様の貝殻が埋もれています。(なまこは「海鼠」と書いて分類は動物です)
雨降りに磯で釣りをしていると足下の藻場で好物のアオサを求めてたくさんのあめふらしを みかけたことがあります。
ゆったりゆったりと波にゆられておりました。
天然のうにやなまこやさざえやあわびがめっきり減ってしまいました。
海の生物にとりましては最大の天敵は人間ではないかと思えます。
あめふらしは人にとってはなんの取り柄のない海のなまけもの、釣りの邪魔もの という存在の生物ですが 実は 人間の食に適さない、しかも気味が悪いという最高の武器でもって、 悠々自適のマイライフを楽しんでいるんですねぇ。

 
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