問わず語り
 

夾竹桃

夏の花の少ない時期、いやでも目についてしまう花で 赤や白の「夾竹桃」があります。 排気ガスに強いというので、道路際によく植えられております。
植物にも空気を吸い込む気孔という機能が備わっているのですが (葉がその役割をしています) 夾竹桃はその葉の裏側、気孔の穴の内側にミクロン級の繊毛が びっしり生えていて、自分に不必要な成分を濾過しているのです。 それで、排気ガスむんむんの道路沿いでも水さえあれば平気で 生きていけるたくましい木なのです。
と、それだけならば人の生活に役立つ益樹だといって頭のひとつも 撫でてやればいいのですが、夾竹桃が実は「猛毒」をもつ木であると いう本を読みました。 文春新書発行 著者:植松黎「毒草を食べてみた」によりますと その毒はおもに強心配糖体という心臓に作用する成分で、オレアンドリン、 アディネリンといった物質が、葉、花、枝、茎、また、折ったときに出る 白い乳液などすべての部分にふくまれる、とありました。
致死量は人の体重1キロ当たり0.30ミリグラム、これは青酸カリよりも 猛毒らしいです。(純粋に成分を取り出したとして) 随分伸びたからといって剪定し、燃やしでもしたら、その煙からも毒が 発生するそうです。 自然や生き物と仲良くするためには「知る」ということが何よりも大事な ことだとあらためて知らされました。 現在日本には外来種の生物がたくさん入ってきていますし 父子伝来の知識だけでは足りなくなっています。 野や山や海で迂闊に採取し食したりして事故にあった事例を耳にします。 注意しましょう。
(実は去年、鳥が食べてたから大丈夫という言説に乗って、 不明の果実を食べ、半日口がしびれた経験があります)

 
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