問わず語り
 

ミモザの花

あなたへ

ことしもまた、あなたの好きだった、
ミモザの花が咲きました。
あざやかなあざやかな黄色です……
春と春のあいだに、冷たい風と温かい風が幾度も吹き。
可憐な春を告げる草木が花を愛でる人々を喜ばせてくれます。
そして、ふと気づくと、黄色の花房をたわわにつけた、
あざやかな「ミモザ」が咲き誇っています。
この花の名前を教えてくれた あなた お元気でしょうか。
この花をみるたび、つい想ってしまいます。
やたら植物に詳しかった人。
あなたはこの花が咲く度毎に講義を始めましたね。
いくら不出来な生徒でも、あれだけ繰り返されれば、
嫌でも憶えてしまいます。
マメ科の「ネムノキ」や「フジ」や「デイゴ」の仲間で
「フサアカシア」別名「ミモザ」。オーストラリア原産。
草木の名に疎いわたしが、他人に聞かれて教えられる
樹木のひとつになりました。

もう、レンギョウの黄色も花をつけはじめ、ユキヤナギも
5分咲きになりました。桜の一斉開花もすぐです。
春と春の間にひときわ鮮やかな黄色だったミモザも、いつしか
色褪せていき、たくさんの春の花々のなかに埋まれていきます。
ほんとうにこの花は、あなたの思い出そのものです。


 
button_back