問わず語り
 

セミ

セミの生涯を知ると迂闊に採集なんてとても出来ない。

この梅雨が明けると、都会の公園や雑木林でも
セミ達がかまびしくいっせいに鳴きだします。
セミ達にとっては「恋の季節」の到来である。
全世界でセミの種類は千五百種もあり、
日本では琉球列島に多く生息していて
ハルゼミをいれると三十二種が 知られているそうです。
わたしが子供の頃から目にし、捕ったりしたのは、 せいぜいが五、六種で、
アブラ、ニイニイ、ミンミン、ツクツク、クマ、 ヒグラシぐらいか。

アブラゼミ君は五、六年も柔らかな土中に「けら」に似た土中生物として
もぞもぞと独りでくらし、適齢期(五〜七年)になると深夜から夜明けにかけて
土中から這い出し、手近の木に登ります。土中用の衣を脱皮すると、
ご存知のように、みごとな宇宙空間用の晴れ姿に変身します。
きらきらと光に透けて輝く羽根。試しに飛んでみました。
始めて目にする世界が展開します、
「やったぜ!気持ちいいなぁ」
胸の発音器を振るわしてみるとびっくりするほどの音がでました。
(音が出せるのは雄のセミです)彼は夢中で鳴き続けました。
鳴きながらふと横をみるといつのまにか 自分に似た姿の虫がいるではありませんか。生まれて初めて目にする同類です。
側により無言のあいさつを交わします(多分)

  そして……。

雌は樹の皮か枯れた枝に産卵します。
のこぎり状の産卵管で穴をあけ10個ほどの卵を産みつけます。
アブラゼミでは一年後そこで孵化し、地上に落下して
そこから長い土中生活にはいるのだそうです。
 
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